「気候」と「季候」の違い知ってる?
自然現象を表す言葉の中にも、発音は全く同じでありながら意味が異なるものがあります。
「気候」と「季候」はその典型例です。
両者とも「きこう」と発音しますが、「気候」とは長期的な気象状態を指します。
その地域の日照時間、気温、降水量、風力など、気象要素の総体が気候を決定づけています。熱帯気候や温暖気候、寒冷気候などと表現されるのはこの意味においてです。
一方の「季候」は、四季それぞれの気象の移り変わりを意味する言葉です。春夏秋冬と季節の推移に伴い、温度や湿度、風向きなどが変化していく様子を指しています。
つまり、「気候」が長期的視点から見た地域の総合的気象状況であるのに対し、「季候」はより短期の範囲における季節ごとの気象変化を表しているのです。
両者の語源を見ると、「気候」の「気」は二十四節気に由来し、「季候」の「季」は四季を指します。気象現象に対する古来の日本人の敏感な観察眼が感じ取れます。
このように一見同じように見える言葉でも、その指す概念は微妙に異なります。
言葉の持つこうした細かいニュアンスの違いが、日本語の豊かさを物語っていますね。
適切に使い分けていきたいものです。