「火」と「灯」の違い知ってる?
日本語には表記こそ異なれ、発音は全く同じという言葉がいくつかあります。
「火」と「灯」はその代表例です。
両者とも「ひ」と発音しますが、その意味内容は大きく異なります。
「火」とは物が燃え光り熱を発する現象そのものを指します。
「火が出る」「火に掛ける」など、火そのものの存在や活動を表す言葉です。
比喩的に「胸の火」と情熱を連想させる用例もあります。
一方の「灯」は、照らすための光のみを指します。
光そのものであり、必ずしも火を発する必要はありません。
「灯をともす」「町の灯」など、照明としての光を意味する用途が中心です。
「伝統の灯を守る」という言い回しからは、心の拠り所としての象徴的意味も読み取れます。
つまり、「火」が燃焼現象そのものを指すのに対し、「灯」はその副次的産物にすぎない光のみを指しているのです。
前者は火そのものの存在を、後者はその果たす機能のみを表しているわけです。
文脈によっては「火の光」と「灯」が同じように見えるかもしれませんが、両者には本質的な違いがあります。
言葉の持つ微細な違いを認識し、適切に使い分ける必要があります。
日本語の豊かさと奥の深さが伺えますね。