「不況」と「不興」の違い知ってる?
日本語には発音は全く同じでありながら、意味するところが異なる言葉がいくつか存在します。
「不況」と「不興」はその代表例です。
両者とも「ふきょう」と発音しますが、「不況」とは景気が悪い状況、すなわち不景気のことを指します。
経済が低迷し、商売などが思うように振るわない局面を表す言葉です。
対義語は「好況」です。
一方の「不興」は、面白みやおもしろさが失われてしまう状態を意味します。
つまり、興味や関心が薄れ、元気が無くなってしまうさまを指しています。
また、機嫌を損ねてしまうという意味合いも持ちます。
つまり、「不況」が経済活動の低迷を指すのに対し、「不興」は精神的な沈滞ややる気の低下を表しているのです。
前者が社会の景気を、後者は個人の興味関心を表す点で、その指す対象が大きく異なります。
実例でいくつか確認してみましょう。
「不況に陥る」「円高不況」などは「不況」を指しています。
一方で「不興を招く」「不興を買う」は「不興」、すなわち機嫌を損ねることを意味しています。
このように同音異義語には曖昧さもありますが、文脈に即して適切に使い分ける必要があります。
一見ささいな違いでも、言語の奥の深さを物語っている好例と言えますね。