「固い」「硬い」「堅い」の違い知ってる?

日本には「かたい」と発音は同じでありながら、微妙に異なるニュアンスを持つ言葉がいくつかあります。
「固い」「硬い」「堅い」がその代表例です。
まず「固い」は、形状や性質が変化しにくい様子を表します。
物理的に固まっている状態のほか、「固い決意」のように揺るぎない心情を指す場合もあります。
「固める」「固まる」といった言葉の語源ともなっています。
次に「硬い」は、外的な力に耐える強度を意味します。
「硬い岩」などの物理的硬度に加え、「硬い表情」のように強張った様子を連想させる用法もあります。
最後に「堅い」は、しっかりと丈夫である様子や、それゆえに信頼できる確かさを表します。
「堅い材木」の物理的強度はもちろん、「堅い守り」のような揺るぎない実力や「堅い職業」のような安定性の高さを指すこともできます。
このように3つの言葉には類似点もありますが、それぞれ異なる側面を表しています。
「固い」は変化の難しさ、「硬い」は外力に対する強さ、「堅い」は内面的な確かさといった具合です。
対義語も微妙に異なり、一般に「柔らかい」が対語と考えられますが、「固い」の対語は「緩い」、「硬い」や「堅い」の対語は「もろい」とされることもあります。
ひと言で「かたい」と表現できる一方で、こうした言葉の綾細工が日本語の豊かさを物語っています。
文脈に応じて適切に使い分ける必要がある好例と言えますね。